お役立ちコラム

No.15
電波のはなし その2~「電波」は電磁波のひとつ~

電波のはなし その2~「電波」は電磁波のひとつ~

前回の記事「電波のはなし その1~磁界と電界~」では、電波とは電磁波のひとつであることをお話ししました。また、電磁波が生まれる元になる「磁界」「電界」について少し詳しく説明しました。今回は「電磁波」「電波」について解説します。

磁界と電界を活かした発明品

前記事の説明で、電線に電流を流すと「磁界」が発生するということがわかりました。そして、電線をグルグル巻いてコイルにすることで、流す電流の強さが同じでも発生する磁界が強くなることもわかりました。「電磁石」はこの原理を応用したもので、大きなコイルに電流を流すことで強力な磁石になります。この仕組みを活用したのが「マグネットクレーン」で、重い鉄材をも吊り上げることができます。鉄材を吊り上げたコイルをトラックの荷台の上へ移動させ、電流を切ることで鉄材がコイルから離れて落下する仕組みです。

また、磁界と電界のもうひとつの振舞いとして 磁界が変化すると、磁界のまわりに電界が発生するということも理解できたと思います。この性質を応用したもののひとつが、自転車の前輪に取り付けられている「発電機(ダイナモ)」です。これは、電球につながれたコイルの中に円筒形の永久磁石を配置し、自転車の車輪(ホイール)が回転すると永久磁石がコイルの中で回転する仕組みになっています。車輪が回転すると、永久磁石の「N極」と「S極」が高速で入れ替わって磁界が変化し、コイルに電流(交流)が流れます。つまり発電するということです。

image201自転車の発電機

磁界・電界・磁界・電界…この連鎖が「電磁波」

これまでの説明をおさらいすると……

① 電線に「電流(交流)」が流れる
② 電線のまわりに磁界が生まれる
③ 生まれた磁界のまわりに新たな電界が生まれる
④ 生まれた電界のまわりに新たな磁界が生まれる

……といった流れで、電界と磁界が互いに誘導し合う現象が連鎖し、遠くへ伝わります。これを「電磁波」といいます。
また、この連鎖が生じている空間を「電磁界」といいます。

image202電界と磁界が互いに誘導し合う現象が連鎖し、遠くへ伝わる

電波とはなにか?

さて、ようやく電波の出番です。

皆さんもよく知っている「電波」とは「電磁波」の一部を指します。
上の図で、最初に電流を流す電線を「アンテナ」と考えることができます。実際に、電波はアンテナから放射されますね。

電磁波はその名の通り、「波」として空間を伝わります。一組の磁界と電界をひとつの波として数え、決まった時間に波が繰り返される回数によって特徴に違いが出てきます。(特徴については次回のコラムにて説明します)

image206
一組の磁界と電界が一つの波

決まった時間に波が繰り返される回数を「周波数」と言い、1秒間に繰り返される波の回数を「Hz(ヘルツ)」という単位で表します。
・波が繰り返される回数が多いと「周波数が高い」
・波が繰り返される回数が少ないと「周波数が低い」
と表現します。

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周波数は1秒間に繰り返される波の回数で表される

周波数が3THz(テラヘルツ)以下の電磁波を「電波」といいます。
それ以上の周波数の電磁波は「赤外線」「可視光線」「紫外線」「X線」「ガンマ線」などに分類されます。
私たちが普段から目にしている光と、目に見えない電波が仲間だったとは不思議ですね。

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電磁波の種類

 

次回は“周波数”の世界へ

2回にわたり「電波とはなにか?」について解説しました。
次回は電波の「周波数」に焦点を当て、周波数の高低で異なる電波の特徴についてご紹介します。