お役立ちコラム

■第2回■通信ことはじめ(その2)

■第2回■通信ことはじめ(その2)

第1回目の紹介では、初期の情報伝達方法を紹介しましたので、これに続いて、第2回目では望遠鏡などの技術の発達により、腕木通信などの道具を開発して情報を伝達してきた歴史を紹介します。

腕木通信による遠距離への情報伝達

■腕木通信:中世のフランスではかなり使用されていました。

19世紀フランス 腕木通信網 5,800km

腕木通信は18世紀末から、19世紀にかけてフランスで生まれ、電気を使わない通信方法で、文字を伝送することができました。通信基地は約10キロメートル間隔で設置されて、各基地に常駐する通信手が望遠鏡を使って両隣の信号を確認します。
文字を表す方法は屋上に支柱を建てて、その先に腕木を取り付けて動かした角度で文字を表す仕組みです。例では手旗信号を腕木で表しているような構造です。
通信手は、隣の通信基地の腕木が変わったら自分の基地の腕木も同じ信号に変えて情報を次々に伝達して、何100kmもある距離でも文字を伝送していました。ナポレオンもこの情報ネットワークを利用して有利な戦術を立案していたようです。
後に、電気通信で使用されるモールス信号でも一文字ずつ伝送しますので、既にその元になる通信方式が確立していたと考えられています。

旗振通信によるコメ相場の情報伝達

日本では江戸時代の1700年代には、戦いが少なくなってきているのですが、腕木通信に似た通信として、「旗振通信」が、「コメの相場」を離れたところからいち早く確認する目的で「数字の伝送」に実施されていたようです。
旗振り通信の1回の伝送距離は、1里程度(4km)程度とされており、望遠鏡を使用していたのかは不明ですが、10回程度の中継が行われていたとの調査もあるようです。いずれにしても人間が旗を振って数字を連絡するので、効率的にはいかなかったようです。
これも、雨天、曇天の時には情報が伝達できないこともあるので、その場合には飛脚によって情報を補完していました。

これらの歴史の後に、電気通信が発見されると、欧米ではいち早く取り入れて、国内に電信網を築き上げることになり、さらに無線の発見により発展してきました。次回は、電気通信発見後の歴史についてお話ししたいと思います。