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国内初、架橋付6軸動揺補正装置「洋上施設アクセスギャングウェイ」を洋上風力発電施設向けに2024年市場投入開始

製品情報

日本無線株式会社(本社:東京都中野区、代表取締役社長:小洗 健、以下 JRC)は、波で揺れる船舶から洋上風力発電施設などへ人を安全に移動するための架橋付6軸動揺補正装置「洋上施設アクセスギャングウェイ」を日本で初めて開発し、2024年に市場投入を開始します。

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開発の背景

洋上風力発電では、設置工事や運転開始後の定期メンテナンスのため、洋上施設へ人員を輸送する必要があります。小型船舶タイプのCTV※1から洋上施設に乗り移る際は、風、波、潮など気象海象の影響により船体が大きく揺れるため、人員を移乗させる際に落水や挟まれ事故などの危険が伴います。特に欧州とは異なり、海岸線に近い海域での洋上風力発電施設の設置が主流となる日本では、活用が増える見込みがあるCTVは波の影響を受けやすい問題があり、欧州にはない日本市場に特化した移乗装置が求められると想定し開発をスタートしました。

製品の特長

JRCの洋上施設アクセスギャングウェイは、CTVから固定構造物や浮体構造物などの洋上施設に人員を安全かつ効率的に移乗させるためのシステムです。ドライビングシミュレーターなどで培った動揺を制御する技術を活かし、船体が大きく揺れても洋上施設への移乗に使用する架橋の動揺を大幅に低減します。

また、JRCの洋上施設アクセスギャングウェイは、先行する海外製の大型サイズ※2と異なり、CTV向けの開発に注力。電動アクチュエーターを採用することで小型・軽量化を実現しました。小型船舶への搭載が簡単なため新造船だけでなく既存の船舶にも搭載を可能としています。

本製品の搭載により、洋上風力発電施設へのアクセスの容易性が向上することで、施設のメンテナンスや修理対応が早くなり、施設の稼働率の向上が期待されます。

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国産による高い信頼性

JRCは洋上施設アクセスギャングウェイの基本設計に関して、世界各国に拠点を置き船級業務や各産業分野における検査や試験、公的機関により定められた規格の認証などを行っているフランス船級協会ビューローベリタス( Bureau Veritas:BV )から設計基本承認( Approval in Principle: AIP )※3を取得しています。

また、本製品は国産のため、開発から製造、販売、サービスを国内で一貫して行い、お客様がご要望する仕様にも対応することが可能です。海外製品とは異なる、きめ細やかな対応とサービスを実施します。

今後に向けて

JRCでは船内作業の補助として作業者の足元を安定化させる小型の2軸動揺補正装置や作業員の乗り移り訓練を目的とした移乗訓練装置も開発しています。

小型船舶に洋上施設アクセスギャングウェイや2軸動揺補正装置を搭載することで、効率的で作業員にとって安全な運用を実現できることは、日本の洋上風力発電事業を成功させるための重要なキーになると考えています。JRCは、日本初となる国産の装置を提供し洋上風力発電の「安全・安心・効率化」に貢献していきます。


  • ※1 CTV(Crew Transfer Vessel):洋上風力発電アクセス船
    洋上風力発電のO&M(運用および維持管理)のため、作業員を洋上風力発電に安全に輸送する目的に特化した小型船舶。
  • ※2 海外の市場について
    欧州では遠浅に着床式の洋上風力発電施設を建設しており、洋上施設への人員輸送には大型作業支援船タイプのSOVを利用します。そのため海外の架橋付6軸動揺補正装置はSOVへの搭載を想定した大型サイズとなり、CTVへの転用は難しいとされています。
  • ※3 設計基本承認(AIP):
    認証機関が設計初期の段階の製品に対して、規定に基づく図面の審査を行い、技術要件や安全性の基準を満足すると承認されたことを示すものです。



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    洋上施設アクセスギャングウェイ 使用シーンイメージ



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    2軸動揺補正装置

関連情報

「洋上風力発電への取り組み」ページ


お問い合わせ先

報道機関
日本無線株式会社
経営企画部 広報担当
Tel:03-6832-0721

製品に関するお問い合わせ
日本無線株式会社
マリンシステム営業部 国内営業グループ
Tel:03-5534-1220

注)内容はリリース時現在のものです