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C帯二重偏波フェーズドアレイ気象レーダーの無線局免許を取得
〜富山県滑川市で観測を開始〜

研究情報

日本無線株式会社(本社:東京都中野区、代表取締役社長:小洗 健、以下JRC)は令和6年3月6日に予備免許を取得したC帯二重偏波フェーズドアレイ気象レーダー実験試験局の無線局免許を、令和6年8月5日に取得し富山県滑川市で試験観測を開始しました。

実験機の現地設置完了・無線局免許の取得

このたび、C帯二重偏波フェーズドアレイ気象レーダーの小型版実験機(以下、「本気象レーダー」)の現地設置が完了し、無線局免許を取得したことで、観測のための電波発射ができるようになりました。

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本気象レーダーの特長

現在、国内では様々な研究機関でフェーズドアレイ気象レーダーが研究されています。当社も2015年に日清紡ホールディングス株式会社中央研究所(千葉県千葉市)にX帯(9GHz帯)単偏波フェーズドアレイ気象レーダーを設置し、研究を続けてきました。
それらと比較すると、本気象レーダーは次の3点を特長としています。
 ① C帯(5GHz帯)を採用
 ② 二重偏波化
 ③ 全アンテナ素子が送受信可能
特に③は、従来のフェーズドアレイ気象レーダーには見られない本気象レーダーのみの特長です。

従来のフェーズドアレイ気象レーダーはアンテナ面全体のうち一部のアンテナ素子のみに送信機能を付与し、送信機能を持つアンテナ面積を小さくすることで縦方向に幅の広い(ファン)ビームを送信していました。

本気象レーダーでは全アンテナ素子に送信・受信機能を付与することで、ファンビームに加えて複雑な送信ビーム、たとえばパラボラ型のような『ペンシルビーム』や、ペンシルビームを複数方向に連ねた『くし形ビーム』の送信が可能となり、観測したい方向のみに絞って電波を放射することができます。ファンビームのように広範囲に不要な電波を放射しないため、観測対象の雨滴からの反射波のみを受信することで正確な観測が可能となり、気象予報や河川水位予測などの精度向上が期待されます。

〈従来のフェーズドアレイ気象レーダー〉
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従来のフェーズドアレイ気象レーダーのアンテナ素子(左図)と可能な送信ビーム

〈本気象レーダー〉
241030-03-2本気象レーダーのアンテナ素子(左図)と可能な送信ビームの例

開発ロードマップ

気象レーダーは設置場所に合わせたチューニングが必要です。本気象レーダーでは、まずは本年末までを目処に調整用のデータを取得しチューニングを進めます。その後、研究観測を開始し実用化に向けて気象データ品質の検証・向上を図ります。このほかにもこの研究ではフェーズドアレイ技術を応用して様々な実験を行い、気象レーダーに求められる新たな機能・性能を確立していきます。
当社は、引き続き気象レーダーの高度化・高性能化を図り、世界の防災・減災および国土強靭化に貢献していきます。

特許

本研究に関連して特許2件を取得済み、8件を出願中です。

関連情報

ニュース(2024.03.06発表)
C帯二重偏波フェーズドアレイ気象レーダーに対応した実験試験局の予備免許を取得

お問い合わせ先

報道機関
日本無線株式会社
経営企画部 広報担当
Tel:03-6832-0721


注)内容はリリース時現在のものです