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世界初、相対速度200km/hでの小型無人航空機の自律的な衝突回避に成功~小型化/低消費電力化したセンサーで有人ヘリコプターを自律的に衝突回避~

研究情報

日本無線株式会社(本社:東京都中野区、代表取締役社長:小洗 健)、株式会社SUBARU、日本アビオニクス株式会社、株式会社 ACSL、マゼランシステムズジャパン株式会社は、9月9日から10日、広域飛行空域(福島県南相馬市)で、小型化/低消費電力化されたセンサーを10kgクラス無人航空機に搭載して、自律的な衝突回避試験を実運用速度域である相対速度200km/hで実施し、世界で初めて成功しました。これは小型無人航空機を社会実装するための目途立てとして、大きな前進となるものです。

背景・目的

一般にドローンと呼ばれる小型の無人航空機や、それよりも一回り大きく、より大きなセンサーなどを搭載できる中型の無人航空機は、既に農業分野などで利用が広がり、さらには災害時の物資運搬や遭難者捜索、物流インフラなどの用途に大いに期待され、運用数は増加しています。

しかし、無人航空機とドクターヘリなどの有人航空機のニアミス実例※1が国内で報告されるなど、衝突回避技術は、安全利用のための喫緊の課題となっています。また、衝突回避技術は、無人航空機の実用化に必要とされる、「目視外飛行」および「第三者上空飛行※3」の実現に欠かせない技術です。
今後、本成果を活用して衝突回避システムを確立し、無人航空機の社会実装推進に努めて参ります。

なお、本試験は、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「ロボット・ドローンが活躍する省エネルギー社会の実現プロジェクト/無人航空機の運航管理システムおよび衝突回避技術の開発/単独長距離飛行を実現する運航管理機能の開発(離島対応)」の一環として実施されたものです。

衝突回避飛行試験イメージ衝突回避飛行試験イメージ

実施した試験概要

10㎏クラスの無人航空機と有人ヘリコプターを、相対速度200km/h(無人航空機:50km/h、有人ヘリコプター:150km/h)で各々の正面方向から接近させ、無人航空機に搭載した各種センサー※4の探知データに基づき、衝突を回避する経路をリアルタイムで生成して、この回避経路に沿って無人航空機が自律回避飛行することを確認しました。また、有人ヘリコプターを回避した後、無人航空機が元の飛行経路に復帰することも確認しました。

衝突回避飛行試験の状況衝突回避飛行試験の状況

※1 有人航空機のニアミス案件の実例:
「航空機と無人航空機、無人航空機同士の衝突回避策等について」(国土交通省航空局、2016年11月8日)のP16参照。※2 目視外飛行:
無人航空機の操縦者が自分の目によって無人航空機の位置や姿勢および航行の安全性を確認できない飛行のこと。長距離の物流やインフラ点検には必須であるが、実現には操縦者の目視に代わる安全措置の実施や、衝突回避技術の実装などが必要。

※3 第三者上空飛行:
無人航空機の運航に関与しない第三者の上空を飛行すること。市街地などで物流を実施する場合などに必須であるが、実現には、高い安全性や信頼性を確立する技術が必要。

※4 各種センサー:
現時点では実験試験局として登録。

お問い合わせ先

報道機関
日本無線株式会社
経営企画部 広報担当
Tel:03-6832-0721

注)内容はリリース時現在のものです