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2015年4月20日

異常気象の発生を早期に探知する高速スキャン気象レーダーを開発- 研究観測を開始 -

日本無線株式会社(本社:東京都中野区、代表取締役社長:土田隆平)は、異常気象による災害を軽減するため、異常気象の早期警戒を可能とする高速スキャン気象レーダーを開発しました。2015年度第1四半期に、本装置を日清紡ホールディングス(株)中央研究所(千葉県千葉市緑区)に設置し、研究観測を開始します。

画像:高速スキャン気象レーダーアンテナ

開発した高速スキャン気象レーダー

画像:設置イメージ

設置イメージ

【開発の背景】

近年、都市部において、局所的豪雨(いわゆるゲリラ豪雨)や竜巻といった異常気象による災害が多発しており、社会的な問題となっています。この自然被害を軽減するため、異常気象の早期警戒および迅速な情報発信が要望されています。とりわけ気象レーダーには異常気象やその原因となる積乱雲の高速観測(高速スキャン)が求められており、その観測データから異常気象の発生予測、および進路予測等の様々な研究が行われています。

【開発成果】

従来の気象レーダーは、高層までを三次元観測するためには5~10分程度の時間を要することから、急速に発達する積乱雲の内部変動を捉えることは不可能であり、異常気象の発生予測は極めて困難でした。そこで、仰角方向の走査に高速かつマルチビーム走査*1を可能とするデジタルビームフォーミング(DBF)*2技術を採用し、水平方向の走査は従来の機械回転式とした一次元DBFレーダーを開発しました。

上記成果により、観測半径30キロメートル以上(最大60キロメートル)、観測高度15キロメートル以上の全観測空間を、30秒以下(最短10秒、従来の10分の1以下)で高速スキャンする気象レーダーを実現しました。そして、積乱雲の急激な変動に対応した観測データを、約100mの距離分解能と約1度の角度分解能で、高精度な三次元観測を可能にしました。

画像:二次元観測画像イメージ

二次元観測画像イメージ

画像:三次元観測画像イメージ

三次元観測画像イメージ

【研究観測の開始】

今回開発した高速スキャン気象レーダーを千葉県千葉市緑区にある日清紡ホールディングス(株)中央研究所に設置し、2015年度第1四半期から研究観測を開始します。研究観測は千葉大学環境リモートセンシング研究センター(CEReS)の鷹野教授、樋口准教授らの研究チームと協力し、本レーダーに加え、衛星画像や雲レーダー等の複数センサによる観測網を構築して複合的な観測を行います。また観測によって得られたデータの解析により、積乱雲の外観的特徴や内部構造、発達の様相を明らかにし、異常気象の発生予測や進路予測のために活用していく予定です。

画像:研究観測のイメージ

研究観測のイメージ

【今後の取り組み】

今後は、異常気象の発生予測や進路予測アルゴリズムの確立と高精度観測のためのレーダーのマルチパラメータ*3化、コストダウン等の実用化に向けた取り組みを開始し、2020年頃の実用化を目指します。そして異常気象の早期警戒による防災・減災に貢献します。

  1. マルチビーム走査:同時に多方向のターゲットを観測するため、複数のアンテナビームを形成するビーム走査
  2. デジタルビームフォーミング(DBF:Digital Beam Forming):各アンテナ素子の振幅位相制御、ビーム合成をデジタル信号処理で行うビーム走査技術
  3. マルチパラメータ:水平偏波と垂直偏波の2種類の電波を照射し、それぞれ2種類の偏波で受信して、その組み合わせから降雨強度等を推定する技術

お問い合わせ先

(報道機関)

日本無線株式会社
経営企画部 広報担当
Tel: 03-6832-0455

(その他)

日本無線株式会社研究所
pr@jrc.co.jp

  1. 内容はリリース時現在のものです