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2009年3月12日 [2009.3.11 プレスリリース]

日本記録更新 無線LANで通信距離62.9km達成

 日本無線株式会社(本社:東京都新宿区、代表取締役社長:諏訪頼久 以下 JRC 日本無線)は、2008年12月に2.4GHz帯無線LAN(JRL-705AL)を用い、国内最長距離(約62.9km)で実効速度1.2Mbps のブロードバンド通信に成功しました。従来の通信距離記録は、2008年2月に記録した47.5km(指宿市-三島村竹島間)でしたので、大幅に記録を更新しました。

 これは、JRC 日本無線とNTT西日本鹿児島支店が、三島村、鹿児島大学学術情報基盤センターの協力のもと、鹿児島県南さつま市と同鹿児島郡三島村の黒島間で実現したものです。

 使用した無線LANは、占有周波数帯幅を約4.1MHzと通常(約16.6MHz)の1/4に縮小したJRL-705シリーズで、長距離通信と多チャネル化に特化したものです。この装置は、占有周波数帯幅に関わる部分以外はWiFi無線LANと同一性能・機能で、免許不要で誰でも使えるものです。

 計算上はさらなる遠距離通信も可能ですので、人口の少ない離島のディジタルデバイド解消のための経済的な無線回線としての利用を期待しています。

実験結果:

実験に使用した機器の構成と測定結果、機器の仕様は以下のとおりです。

(1) 機器構成

画像:機器構成

(2) 受信電力測定結果

区間 計算値(自由空間) 受信感度(規格値) 測定結果
南さつま市-黒島 -86dBm
(約62.9km)
-88dBm/1.5Mbps、
-85dBm/3Mbps、
-82dBm/6Mbps
-82~-85dBm程度
時間帯によって-90dBm以下

備考:受信電力の測定は無線LAN内蔵の機能なので、測定器に比べて誤差が多い(±3dB程度)

(3) 伝送速度測定結果

規格 設定伝送速度 実効速度1 実効速度2
IEEE802.11g
(占有周波数帯幅関連を除く)
1.5Mbps 固定 1.3Mbps(平均) 1.2Mbps(平均)

備考:

実効速度1 無線LAN間のパケット折り返し試験(パソコンの速度などの影響を受けない)

実効速度2 無線LAN回線を挟んだパソコン間のファイル転送速度(Iperfで測定)

(4) 無線LAN仕様(メーカ:JRC)

型名 規格 周波数帯 占有周波数帯幅 同時使用 伝送速度 空中線電力
JRL-705AL 11g 2400~2483.5MHz 約4.1MHz
15チャネル 1.5~13.5Mbps 1mW/MHz
(=0dBm/MHz)
約8.3MHz
8チャネル 3~27Mbps
約16.6MHz
4チャネル 6~54Mbps

(5) アンテナ仕様

型名 メーカ 形式 利得 半値角 偏波面 給電線損失
NZA-666 JRC グリッドパラボラ 24dBi V6.5度、H9.5度 水平 2dB

備考:竹島回線(垂直偏波)との比較のため、水平偏波で使用した。有意差はありませんでした。

【解 説】

(1)受信電力について

 自由空間での計算値に対して、ほぼ同等の測定結果となりました。見通し条件(電波伝搬路に障害物がない)を満足していると考えられます。

ただし、1日数時間程度は潮位変動によると思われる受信電力の落ち込み(フェージング)が発生しています。

伝送速度設定にマージンを持たせていますので、フェージングによる実効速度の変化は観測されませんでした。

(2)伝送速度について

 伝送速度1.5Mbps固定の設定で、実効速度1.2Mbpsを得られています。

また、無線部分のパケットロスは多くて10%程度、大部分は5%以下で、いずれもARQ(自動再送)でカバーできていますので、回線としてのパケットロスはありませんでした。

なお、無線LANの伝送速度を1.5Mbps固定設定としたのは、上位回線がADSL1.5Mbpsだったためです。

(3)実用の可否

 伝送速度1.5Mbps でもフェージング発生時の受信電力のマージンがありませんので、恒常的なシステムにはダイバーシティアンテナ方式が望ましいと思われます。ダイバーシティアンテナを追加し、長期間のデータ取得中です。

(4)JRL-705AL(狭帯域無線LAN)について

 2.4GHz帯の無線LANは、IEEE802.11g規格で1~13チャネル(5MHz間隔)が規定されています。

しかし、送信波の占有周波数帯幅がチャネル間隔より広い(約16.6MHz)ので、連続したチャネル番号を割り当てるとスペクトラムが重なってしまいます。

互いに重ならないようにするためには、周波数間隔が20MHz以上になるチャネル番号を選択しなければなりません。

そのため、同一場所(相互に電波の届く範囲)で同時に使用できるチャネル数は多くても4つしか設定できません。

また、ISM帯(Industry-Science-Medical)である2.4GHz帯は、電子レンジや医療機器あるいはアマチュア無線などが周波数を共用しているので、実際に使用できるチャネル数はさらに少なくなることがあります。

 そこで、5MHzおよび10MHzの周波数間隔で使用できるように、占有周波数帯幅を約4.1MHz(5MHzシステム)および約8.3MHz(10MHzシステム)に縮小可能な無線LAN装置JRL-705を開発しました。

5MHzシステムで15チャネル(IEEE802.11g規格の上下に各1チャネル追加)、10MHzシステムで8チャネルを同時に使用できますので、干渉問題を解決しやすくなります。

また、通信エリアを拡大するために多数のAP(アクセスポイント)を設置したときに、AP間の干渉を避けることができます。なお、伝送速度は標準(20MHzシステム)より低下(占有周波数帯幅に比例)します。

 また、狭帯域化の副次的効果としてAck(正常応答信号)待ち時間の延長があります。

電波伝播時間から計算した通信距離は、標準(20MHzシステム)に比べて、10MHzシステムで2倍、5MHzシステムで4倍になります。

今回の実験はこの機能を利用したもので、20MHzシステムでの最大通信距離(計算上は約50km)を超えた長距離通信を実現できました。

現場写真

画像:現場写真 南さつま市側

画像:現場写真 黒島側

お問い合わせ先

(報道機関)

日本無線株式会社
経営企画室 広報担当
TEL: 0422-45-9774 FAX: 0422-45-9553
E-Mail: pr@jrc.co.jp

(その他)

日本無線株式会社
通信機器営業部 通信インフラ営業グループ
TEL: 03-3348-3853 FAX: 03-3348-3935

  1. 内容はリリース時現在のものです