日本無線株式会社(本社:東京都中野区、代表取締役 社長執行役員:佐久間 嘉一郎、以下 JRC) は、信州大学および京都大学と共同で申請した研究テーマ「小型気象レーダーによる局地的豪雨探知・情報提供システムの開発」が、一般社団法人 北陸地域づくり協会※1による2026年度「北陸地域の活性化に関する研究助成事業」に採択されたことをお知らせします。
本事業では、信州大学長野(工学)キャンパスに設置されたXバンド二重偏波小型気象レーダー「RAINWATCHER(レインウォッチャー)」により観測されたデータを、JRCのソフトウェア・サーバーで処理し、長野県内の自治体に対して局地的豪雨の危険性を早期に可視化・提供するモニタリングシステムの開発・実証を行います。本助成を活用し、2026年夏までに長野県内の自治体への試行導入を進め、実務現場での有効性検証と機能改善を図る予定です。
近年、気候変動の影響などにより、短時間に狭い範囲で集中して降る「局地的豪雨」による、中小河川の急激な増水や地下街・アンダーパスの浸水が各地で問題となっています。長野県内においても、盆地地形に位置する長野市や、千曲川河岸段丘および支川扇状地上に市街地を有する上田市では、複雑な地形と中小河川・水路網が重なっているため、局地的豪雨による浸水被害が繰り返し発生しており、2025年7月には上田市中心部でアンダーパス冠水や店舗浸水が報告されています。
こうした中、信州大学とJRCは、従来の大型XバンドMPレーダーと同等の観測範囲を持ちながら軽量・省電力・低価格な小型気象レーダー「RAINWATCHER」を開発・運用し、須坂市の突風災害時には、強い降水コアや雹粒子の形成を詳細に捉えることに成功するなど、その有用性を確認してきました。この成果を、自治体防災の現場で活用可能な形に発展させることが本事業の狙いです。
地形図出典:国土地理院「数値標高モデル(250mメッシュ)」
本事業では、「RAINWATCHER」の常時観測データを用いて「ゲリラ豪雨のタマゴ」※2を自動検知し、豪雨発生の可能性をリアルタイムで判定・表示するモニタリングシステムを構築します。ユーザーは自治体の河川・防災担当部局とし、局地的豪雨による河川増水や内水氾濫の兆候を、発生の数十分前から把握できる仕組みを目指します。
これにより、交通規制、防水板設置、用水路・調整池のゲート操作、排水ポンプの事前運転などの初動対応を、より早く的確に判断できることが期待されます。これは、ハード対策とソフト対策を組み合わせた「流域治水」の実践を支えるものであり、地域の水災害リスク低減と住民の安全確保に貢献します。
あわせて、渦度や偏波パラメータを用いた豪雨予測アルゴリズムの高度化、自治体向け画面の使いやすさ向上などを図り、長野県内および周辺地域への展開可能性の検討も進めます。
研究開発体制としては、「信州大学千曲川流域治水研究寄附講座(日本無線)」の木戸研太郎特定准教授が本研究助成事業の代表・責任者を務め、信州大学および京都大学が豪雨予測アルゴリズムの研究開発を行い、JRCと信州大学が共同でモニタリングシステムの開発を担当します。
一般社団法人 北陸地域づくり協会 公式ウェブサイト
「北陸地域の活性化」に関する研究助成事業
JRCウェブサイト
Xバンド小型気象レーダ RAINWATCHER 製品情報ページ
注)内容はリリース時点のものです