日本無線株式会社(本社:東京都中野区、代表取締役社長:小洗 健、以下 JRC)は、長野県大町市高瀬ダム奥の東沢ヘリポートから湯俣山荘までの渓谷沿いで、無人航空機(ドローン)による物資輸送の実証実験を実施しました。本実証実験では、JRCで独自開発している飛行航路シミュレーションソフトウェア(以下、飛行航路検証ソフト)を用い、障害物との距離、飛行高度、電波の見通しなど重要な飛行条件を、事前に机上検証しました。事前検証により最適化した自動飛行航路と自営通信網にて無人航空機の目視外飛行を行った結果、計画通りの安全運航を達成。JRCの飛行航路検証ソフトの高い有効性を確認しました。
なお、本実証実験は、長野県の補助事業「令和7年度次世代空モビリティ活用信州モデル創出補助金」として採択された「公衆通信網未整備の山岳地域における安全な自動飛行航路の構築と物資輸送実証」事業の一環として行われたものです。
国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT エヌアイシーティー)開発のコマンドホッパー※2など、複数の通信機を使用して自営通信網を構築しました。
本実証試験では、着陸地点の湯俣山荘に物資輸送を実施しました。輸送物資として新鮮な果物(りんご、ぶどう等)を選定し、山小屋への食料品の安定供給の手段として無人航空機の有効性を実証することができました。
地図出典元:国土地理院ウェブサイト(地理院地図を加工して作成)
山岳地域での長距離目視外飛行という過酷な環境での実験ノウハウを活かし、物流など様々な場面で無人航空機が安全に飛行できる技術を創造し、次世代空モビリティの社会実装加速に貢献することを目指してまいります。
JRCは、日清紡グループの一員としてモビリティ社会の実現に貢献してまいります。
プレスリリースはこちら(PDF 900KB)をご参照ください。
※1 航空法などの関係法令
航空法第132条の85第1項1号、航空法施行規則第236条の71第1項。
※2 コマンドホッパー
920MHz帯と169MHz帯の2つの周波数を組み合わせた通信システム。169MHz帯では低速ですが障害物がない条件で10km以上の距離で通信可能で、920MHz帯では1km程度以下の近距離ですが169MHz帯よりは高速な通信が可能です。また、時間分割による多重化を採用し、最大3ホップまでの遅延補償中継通信が可能で、適切な位置(ドローン上あるいは地上、建物上等)に中継局を配置することにより山や建物などの障害物を越えて、ドローンと地上局の間のテレメトリ・コマンド回線をつなぐことができます。このシステムは通信距離と通信速度をトレードオフの関係にしており、ドローンのミッションが要求する条件に合わせて設定することができます。(NICT 提供情報)
ニュースリリース(2023年3月9日)
山岳地域で物資を輸送する無人航空機の開発に向けた通信実証に成功
~公衆網や衛星測位基準局が少ない山岳地域において、自営網による安全な飛行に資する通信・センシングを実現~
注)内容はリリース時現在のものです