電波とは何か?を説明できる人はどれぐらいいるのでしょうか。電波は、無ければ生活が成り立たないほど重要なインフラと化しています。しかし、ほとんどの人は日常生活の中で電波の正体を意識することはないでしょう。正体を意識しなくても電波の恩恵を受けながら便利に使える製品・サービスを提供するために私たちのようなメーカーが存在しているのです。
でも、電波の正体やその特徴を知ると意外に面白いこともあります。
などなど……。生活の中のちょっとしたことから電波の振る舞いを感じたり、電波に興味が湧いたりするかもしれません。本コラムでは、電波とは何か?を2回に分けて説明します。
電波は「電磁波」の一種です。
では電磁波って何?
電磁波とは「磁界と電界が相互に影響し合い、連鎖して起こる現象」です。
でも、これだけではちょっとよくわからない……という方が多いと思います。そこで、まずは「磁界」と「電界」についてご説明します。
1820年、デンマークのエルステッドは「実験器具に電気を流すと、近くに置いていた方位磁石の針が動く」ということに気が付きました。その気付きを知ったフランスのアンペールが電気と磁気の関係について研究を始め、1820年のうちに「電気から磁気が生まれる法則」を発見したのです。
電気から磁気が生まれるのであれば、磁気から電気を生むこともできるのではないかと考えたイギリスのファラデーは、研究を重ねて1831年に「磁気から電気が生まれる現象」を発見しました。
2⇒3⇒2⇒3……のように磁石をコイルの中で速く動かすと、電流が連続して流れることになります。
ここでの注意点は、電流が流れるのは磁石を「動かしたときだけ」ということです。コイルの中に磁石を入れっぱなしにしているだけでは電流は流れません。これは、磁石を動かすことにより、磁石のすぐ近くにあるコイルの中の磁界が変化するために起きる現象だからです。
このようにコイル(電線)に電流が流れると、そのまわりには「電気が作用する空間」ができます。電気が作用している空間を「電界」と言います。乾燥した日にプラスチックの下敷きを衣服でこすって頭に近づけると髪の毛が逆立ったり、セーターを脱ぐときにパチパチと音がすることで知られる「静電気」は、電界を感じることができる身近な例です。
さて、今回は磁界と電界についてお話ししました。次回はいよいよ電波のお話です。