2008年3月27日 [2008.3.26 プレスリリース]


無線LAN(WiFi)で通信距離47.5kmの日本新記録


日本無線株式会社(本社:東京都新宿区、代表取締役社長:諏訪頼久 以下 JRC 日本無線)は、2008 年2月に2.4GHz 帯無線LAN(JRL-710)で、国内最長距離(約47.5km)、実効速度8Mbps のブロードバンド通信に成功しました。


 これは、総務省の戦略的情報通信研究開発推進制度(SCOPE)の支援を受けた鹿児島大学学術情報基盤センターと三島村が、JRC 日本無線、指宿市教育委員会、NTT 西日本-南九州株式会社の協力のもと、鹿児島県指宿市と同鹿児島郡三島村の竹島間で実現したものです。
 使用した2.4GHz 帯無線LAN は免許不要で誰でも使えるもので、一般には数十〜数百メートルの距離で使われていますが、極めて長距離でも無線LAN で高速通信が可能なことを実証しました。これにより、離島や山岳部のディジタルデバイド解消のための経済的な無線回線としての利用に弾みがつくものと期待しています。


実験結果:

実験に使用した機器の構成と測定結果、機器の仕様は以下のとおりです。
(1) 機器構成


画像:機器構成


(2) 受信電力測定結果

測定場所 計算値(自由空間) 受信感度(規格値) 測定結果
指宿側の受信電力 -79.6dBm -82dBm/6Mbps,-79dBm/12Mbps,-74dBm/24Mbps -79dBm(平均)
竹島側の受信電力 -81dBm(平均)


(3) 伝送速度測定結果

No. 規格 設定伝送速度 実効速度1 実効速度2
1 IEEE802.11g 6Mbps 固定 4.7Mbps(平均) 3Mbps(平均)
2 6,12,24Mbps 可変 13.5Mbps(平均) 8Mbps(平均)

備考:受信電力の測定は無線LAN 内蔵の機能なので,測定器に比べて誤差が多い(±3dB 程度)


(4) 無線LAN 仕様

型名 メーカ 規格 周波数帯 チャネル 空中線電力
JRL-710AL2 JRC 11b/g 2400〜2483.5MHz
1〜13(1 を使用) 1mW/MHz(=0dBm/MHz)

備考:
実効速度1 無線LAN 間のパケット折り返し試験(パソコンの速度などの影響を受けない)
実効速度2 無線LAN 回線を挟んだパソコン間のファイル転送速度(Iperf で測定)


(5) アンテナ仕様

型名 メーカ 形式 利得 指向角 給電線損失
NZA-666 JRC グリッドパラボラ 24dBi H6.5 度,V9.5 度 2dB

無線LAN の製品情報はこちらから


現場写真
画像:現場写真 指宿側

画像:現場写真 竹島側


【解 説】
(1) 受信電力について
 自由空間での計算値に対して、ほぼ同等の測定結果となりました。見通し条件(電波伝搬路に障害物がない)を満足していると考えられます。
(2) 伝送速度について
 伝送速度6、12、24Mbps 可変の設定で、実効速度13.5Mbps(折り返し速度)を得られていますので、ほぼ24Mbps で動作していると考えられます(一般に、実効速度は伝送速度の50〜70%程度になります)。伝送速度24Mbps の受信感度は−74dBm(規格値)であり、測定受信電力は−80dBm 程度ですので、感度以下の受信電力で十分な伝送速度が得られています。これは、実機の受信感度が規格に対してマージンを持っているからと考えられます。
(3) 実用の可否
 伝送速度24Mbps では、受信感度に対して受信電力のマージンがありませんので、実用的な伝送速度は6Mbps と考えた方がよいでしょう。また、干渉波が存在する場合は通信距離が短くなったり(定常的な干渉波やノイズの場合)、実効速度が遅くなったり(間欠的な干渉波やノイズの場合)します。さらに、海面変動による受信電力の変化(マルチパスフェージング)が発生しますので、恒常的なシステムにはダイバーシティアンテナ方式が望ましいと思われます。当然ですが、実用化システムを構築する場合は、見通し条件や干渉波・ノイズやマルチパスフェージングの有無などをあらかじめ調査し、対策を講じる必要があります。
(4) 2.4GHz 帯無線LAN とは
 電波法設備規則第49 条の20 で規定された小電力データ通信システムの無線局のことで、空中線電力≦10mW/MHz,EIRP(等価等方放射電力)≦160mW/MHz と規定されています。SS 方式(11b)あるいはOFDM方式(11g)という高度変復調方式を採用しており、高い伝送速度を得られます。
 あらかじめ技術基準適合証明を受けていれば、外部に高利得アンテナを接続できますので(EIRP の制限内で)、理論上は通信距離に制限はありません。しかし、経済的な制限・地形的な制限(見通しが必須)・電波伝搬時間の制限などから、これまでは30km 程度が最大実用距離でした。


本件に関するお問い合わせは、以下までご連絡ください。

日本無線株式会社
通信機器営業部 ネットワーク営業グループ
Tel.03-3348-3853 Fax: 03-3348-3935

コーポレートセンター  広報担当
Tel.0422-45-9774 Fax: 0422-45-9553



*本内容は、リリース時現在のものです。
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