J-Marine GIS 先端ナビゲートシステム 導入事例

導入されたお客様のご紹介

船舶における環境問題、省エネルギー、安全航行の研究開発や教育養成を支援

納入先

国立大学法人 東京海洋大学 海洋工学部 海事システム工学科
東京海洋大学(越中島キャンパス)

所在地

品川(東京都港区)、越中島(東京都江東区)

理念

人類社会の持続的発展に資するため、海洋を巡る学問及び科学技術に係わる基礎的・応用的教育研究を行う。

導入前の課題

船舶を取り巻く問題解決のために研究開発や
教育養成を支援する、新たな研究施設が必要でした

東京海洋大学(越中島キャンパス)
東京海洋大学(越中島キャンパス)

船舶の運航に関しては、安全航行はもちろんのこと、省エネルギー航行、環境対策、海賊対策など船舶を取り巻くさまざまな問題がある。

海洋に関する先進的な教育と研究をしている東京海洋大学では、日本や世界の船舶が抱える諸問題を解決するために船舶運航科学技術分野で高度な研究がおこなわれている。

東京海洋大学は、将来の「船舶運航科学技術」分野を担うための高度技術者や研究者の養成するべく、運航に関する研究開発や教育養成を支援する、新たな研究施設の開発を求めていた。

 

導入のポイントと解決方法

船舶の状態、気象海象情報および海上交通流などの情報を総合的に収集、解析

環境問題、省エネルギー、物流輸送高速化、安全航行における海賊対策などの各種問題の支援には、船舶の状態、気象海象情報及び海上交通流などの情報を総合的に収集して解析し、船舶に対し適切に助言する事が必要とされる。

各種情報の統合

  • 陸上レーダー局(東京湾レーダー画像)
  • 陸上AIS局(東京湾船舶情報)
  • 東京海洋大学実習船「汐路丸」(レーダー画像、航海情報、機関情報、Webカメラ)
  • 気象情報(京都大学気象支援サイト)

収集・管理・解析されたこれらの情報を研究者間で共有が可能となれば、海事分野における開発研究の質が高まり、新しい運航技術の開発研究への展開が期待できる。

GISを導入することで、収集した各種情報をレイヤ化し、重畳表示することにより、気象海象状況と船舶動静状況の情報連携が可能となり、船舶運航に関するさまざまな問題を解消あるいは、軽減する研究が加速すると期待される。

導入後の効果

J-Marine GIS 先端ナビゲートシステムを開発

実習船の操船状況把握をはじめ、東京湾内船舶動静分析、最適航路シミュレート、危険度判定検証などの研究に利用できる、「J-Marine GIS 先端ナビゲートシステム(以下、先端ナビ)」を開発した。

先端ナビは、陸上レーダ局・陸上AIS局・船舶・気象支援サイトなどから必要に応じて収集した各種情報をデータベース化し、複数のモニタやパソコンに情報表示する。

先端ナビには、東京湾における船舶情報の表示ができ、湾内の船舶動静が現況把握できるリアルタイム表示や、過去の状況を再現表示できるプレイバック表示機能をもち、実習船の航跡確認や海上交通流の変化把握として授業にも使用される。

先端ナビは、大学に設置のサーバを中心としたネットワークにて構成される。実習船とは衛星回線、着岸時は無線LAN、東京湾の各サイトとは陸上インターネット網にて接続しVPNを構築している。大学内は専用のイントラネットにて構築しており、データベース内の各種情報は、研究者の解析分析用データとしてダウンロードでき、研究者間の情報共有が実現した。

  • 海洋版GISの導入
    気象海象情報や各種情報との重畳表示として海洋版GIS機能を実装している。研究目的にあわせた各種データの選択や複数情報の組み合わせ(レイヤ選択)が容易になり、解析結果や分析結果が視覚的に認識できるようになった。また、GISの基本機能である計測ツールも実装されており、距離経路測定(長さ)やエリア測定(面積)の計測が可能となった。
  • 東京京湾現況表示
    陸上レーダー局からのレーダー画像やAIS受信局からの船舶情報を表示することにより、東京湾の船舶動静の把握ができる。
  • 気象海象情報表示
    気象庁発表の波浪数値予報情報を表示し、船舶への影響などが考察できる。
  • 船舶情報表示
    東京海洋大学実習船内のネットワークで収集した船舶情報を衛星回線経由で取得し、リアルタイム表示することで操船状況や機関動作状況が把握できる。また、IP電話やTV会議などのコミュニケーション設備も確立している。
先端ナビゲートシステム概観

先端ナビゲートシステム概観

先端ナビゲートシステム表示例

GS表示例
東京湾AIS情報表示

東京湾AIS情報表示

東京海洋大学 庄司教授インタビュー

先端ナビを使った、「SJ値によるリアルタイムでの
衝突危険度判定」と「見える化」

海洋工学部 海事システム工学科長 庄司 るり教授
海洋工学部 海事システム工学科長
庄司 るり教授

現在、先端ナビを使って、東京湾内を航行する船舶のSJ値によるリアルタイムでの衝突危険度の研究を行っております。

SJ値の計算には先端ナビで収集しているAISデータの位置情報、船舶情報を使用しており、衝突危険度の判定結果を、先端ナビのGIS画面上に、+3(極めて安全)~-3(極めて危険)の7段階で色分けして表示しています。これにより現在、東京湾内を航行する、船舶の危険度を一目で把握することが可能となりました。

先端ナビの最大の利点は、システムで収集・管理している情報を利用して、新たな研究やシステム開発が可能であり、更にその成果を先端ナビに反映できることです。
東京湾内のリアルタイムの船舶情報レイヤーにSJ値レイヤーを重ねることで、より実践的な研究を可能とします。

SJ値とは?

自船が一隻の船舶と遭遇する状況において、操船者が他船に対して感じる主観的な衝突危険度を判定する指標。
SJ値:(Sub Judgment Value:主観的衝突危険度)

導入製品・システム

船舶運航に関する多種多様情報をより効率的かつ統合的に収集・管理・解析・表示し、運航に関する研究開発や教育養成を支援する研究設備です。
※本事例中に記載の内容は2016年4月現在のものです。

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