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私の少年期、手塚治さんの鉄腕アトムのマンガを読み、アトムの正義感と10万馬力のパワーにあこがれながら、10年、20年先がどんなに素晴らしい世界になるのだろうかと将来の期待に思いを馳せていた覚えがあります。

実際、アトムが漫画の中で活躍していた1952年から1968年あたりの時代というのは、国内外で大変なスピードで科学技術の躍進が続いた時代でありました。主なものでは、テレビの放送開始(国内1953年)、人工衛星(ソ連1957年)、カラーテレビ放送(国内1960年)、有人宇宙飛行(ソ連1961年)、東海道新幹線開業(国内1964年)、アポロ11号月面着陸(米国1969年)など、めまぐるしいばかり。素材分野では、トランジスタが発明されたのが1948年で、最初のマイクロコンピュータが1971年に登場しております。そして現在では、最近のパソコンに搭載されているマイクロコンピュータはじつに初期の2万倍のトランジスタが内蔵され、計算スピードも2万倍になっており、処理能力でいえばじつに4億倍というとてつもない能力を持つようになっております。

当社の無線通信技術分野では、今般のアナログからデジタルへの移行は、事業・研究開発面で大きな変化をもたらしております。デジタル技術によって微妙なノウハウ要素が排除され、生産能力が大幅に向上した結果、開発スピード及び低価格化の競争が大変激しくなっております。このため、技術開発スピードを上げて先端技術を的確に保有をしていかなければ、この分野から取り残されてしまいます。もう一つの変化は事業目標設定と事業プロモーションの役割移動であります。かつては、事業を成立させていくための環境づくりをお客様自身が進められ、メーカーはその意向に沿った提案をし、ものづくりをしていくというケースが多々ありました。しかし現在はメーカー自身が考えて提案をしていかなければ事業を創ることは出来なくなっております。われわれ自身が事業を探し、創らないといけないのです。そのために、共有できる目標に向け全社の意識を統一させ、意思決定をすばやく、合理的に行う等ビジネススピードを高める力を整えなければなりません。

このような環境変化のなかで、本来の企業任務をいまもう一度思い起こす必要があります。われわれメーカーは、新しい商品や既存商品のモデルチェンジを通じて、お客様に喜んでいただける価値を絶えることなく生み出し、世に送り出していかなければなりません。それによってこそ社会の持続的発展に寄与でき、会社に利益を生み出し続けることができます。

その為にわれわれは、市場調査力を高め、開発プロセス改革を進め、要素技術の蓄積を図り、技術力、コアコンピテンシーの差別化に努め、当社の特性に合った独自性のある商品を生み出す努力をし続けなければならないのです。利益の出る商品というのは、その商品価値に対し、お客様が受け入れていただいたあかしであり、継続的な企業価値創出、事業推進の源泉となります。

われわれは、企業価値創出とは、お客様や社会から見た価値であることをしっかりと認識し、その企業価値を高める為に、事業と研究開発はこころをひとつにし、一体になって推進していかなくてはいけないと考えております。なによりもお客様に喜んでいただくために、研究開発部門は優れた技術を開発し、事業部門が製品化し、営業部門が販売するという役割分担の中で、優れた技術をスムースに事業化する為に、研究開発部門、事業部門、営業部門とのコミュニケーション、連携の更なる強化をはかってまいります。

驚異的な技術進化のおかげで、形の上ではアトムに近い人型ロボットが現実に登場してまいりました。また情報通信分野では驚異的な能力が容易に手に入るようになり、アトムの10万馬力を超えているとも言えます。しかし、正義(事業の成功)はお客様の判定を待たなければなりません。社員一同チャレンジ精神を持って目標に向かい現代のアトムとして社会に貢献してまいりたいと思います。今回の本稿特集である防災機器は形を変えた現代のアトムになれることを目指しております。そして当社は今後とも事業と研究開発が一体となり、ものづくりを通じ社会に貢献し、企業価値の向上に努めてまいります。

常務取締役 事業担当

内藤 幹男

Mikio Naito
Managing Director
Sales & Marketing